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第一話エンドロール文章





嵐が過ぎ去って、……あれだけ長いこと島を包んでいた重苦しい雲が、晴れていきます。
雲間からは木漏れ日が差し、……昨日までの嵐がまるで嘘だったかのよう。


船着場には、誰かが望んだとおりに、再びうみねこたちが帰ってきて、にぎやかな鳴き声を聞かせてくれました。


その後、やって来た警察により現場検証が行われました。


最後まで生き残ったと思われる子どもたちの遺体はついに発見されませんでしたが、発見された身体の一部や、想像を絶する凄惨な現場状況に、警察は子どもたちも含めた18人全員の存命は絶望的だと思わざるを得ませんでした…。


魔女の宴が、どれほどに凄惨なものだったのか。
そして、黄金郷が如何に美しいところだったのかは、彼らのみに語られる物語…。
宴が終わった後にやって来た人間たちに、語る物語などありはしない。ただただ、この二日間の間に何があったのかを想像する他ありません。


しかし、…魔女は気まぐれでした。
この、語る必要のない物語を、あえて残し、伝えることを許されたのです。


それから数年後。
近隣の島の埠頭にて波間を漂う不思議なワインボトルが、漁師によって引き上げられました。
その中にはびっしりと細かい文字で書かれ、細く丸めたノート片が詰め込まれておりました。
それこそが、…………この、物語。
謎に包まれた1986年10月4日からの謎と怪異に満ちた二日間の正体を、人々はこのノート片によって初めて知ることになります。


この事件はその後「六軒島大量殺人事件」「六軒島18人殺し」等と呼ばれますが、世の好事家たちは「魔女伝説連続殺人事件」と呼び伝えていきました。


オカルトを好むものは、島を閉ざしての背徳的な儀式の成れの果てであると主張しており、謎に満ちた二日間を各々の解釈で残虐に修飾しては広めていきました。
しかし、どのような解釈であったにせよ、それらは事件の真相に至るものではありません。


そしてワインボトルのノート片は、この謎に満ちた事件を語りつつも、その真相については語っていません。
いや、…ノートの書き手も、真相を知らなかったのかもしれません。
……あるいは、真相を知りたいのかも。


書き記した人物の自著によれば、…彼女の名前は右代宮真里亞。


なお、警察による懸命の捜査の結果、真里亞については、身体の一部、…顎部の一部が発見されています。
歯科の治療記録により誰の遺体の一部であるか特定できた貴重な例でした。
…その凄惨な状況に、誰の身体の一部か特定できない部位も多数あったのですから、その顎は非常に幸運な一部だったと言えるでしょう。
警察は、顎部が欠損するという状況から、それ以外の部位が発見されない、あるいは特定されないにせよ、その存命は絶望的だろうと見ています。


それでは、この物語は、右代宮真里亞の残したノート片の最後の一文で結ぶといたしましょう。


これをあなたが読んだのなら、その時、私は死んでいるでしょう。
死体があるか、ないかの違いはあるでしょうが。
これを読んだあなた。どうか真相を暴いてください。
それだけが私の望みです。
右代宮真里亞




――今日でも「魔女伝説連続殺人事件」の真相は、暴かれていない。


1st game “Legend of the golden witch” Result


 
右代宮 蔵臼
 第一の晩に、死亡。
 黄金郷の鍵によって選ばれ、生贄に捧げられました。

右代宮 留弗夫
 第一の晩に、死亡。
 黄金郷の鍵によって選ばれ、生贄に捧げられました。

右代宮 霧江
 第一の晩に、死亡。
 黄金郷の鍵によって選ばれ、生贄に捧げられました。

右代宮 楼座
 第一の晩に、死亡。
 黄金郷の鍵によって選ばれ、生贄に捧げられました。

使用人 紗音
 第一の晩に、死亡。
 黄金郷の鍵によって選ばれ、生贄に捧げられました。

使用人 郷田
 第一の晩に、死亡。
 黄金郷の鍵によって選ばれ、生贄に捧げられました。

右代宮 絵羽
 第二の晩に、死亡。
 眉間を“アスモデウスの杭”にて貫かれました。

右代宮 秀吉
 第二の晩に、死亡。
 眉間を“ベルゼブブの杭”にて貫かれました。

右代宮 金蔵
 第四の晩に、死亡。
 眉間を“マモンの杭”にて抉られました。

使用人 嘉音
 第五の晩に、死亡。
 胸を“サタンの杭”にて抉られました。

使用人 源次
 第六の晩に、死亡。
 腹を“ルシファーの杭”にて抉られました。

主治医 南條
 第七の晩に、死亡。
 膝を“ベルフェゴールの杭”にて抉られました。

使用人 熊沢
 第八の晩に、死亡。
 足を“レヴィアタンの杭”にて抉られました。

魔女 ベアトリーチェ
 第九の晩に、復活。
 彼女はついに黄金郷の扉を開きます。

右代宮 夏妃
 第九の晩に、死亡。
 魔女は高潔さを讃え、決闘の名誉を賜れました。

右代宮 譲治
 第十の晩に、行方不明。
 魔女は、存在を認めて平伏した彼を黄金郷へ招かれました。

右代宮 朱志香
 第十の晩に、行方不明。
 魔女は、存在を認めて平伏した彼女を黄金郷へ招かれました。

右代宮 真里亞
 第十の晩に、行方不明。
 魔女は、存在を認めて平伏した彼女を黄金郷へ招かれました。

右代宮 戦人
 第十の晩に、行方不明。
 魔女は、存在を認めず否定する彼を黄金郷へ招くでしょうか。



魔女は賢者たちを讃え、黄金郷にて四つの宝を与えるでしょう。
彼らはそこで、死者の魂を蘇らせ、失った愛を蘇らせることを選びます。
なぜなら、彼らが欲していたものは、どれほど山を成す黄金であろうとも、得られないものだったから。


譲治は失った婚約者を。
朱志香は失った想い人を。
真里亞は失った母の愛を。


安らかに眠れ、ベアトリーチェ。
二度と妨げられることのない眠りの中で。


勝者は、黄金の魔女、ベアトリーチェ。
18人の誰も、黄金の謎を解けず時間切れ。
18人は全員死亡。
うみねこのなく頃に、生き残れた者はなし。




うみねこのく頃に
 07th expansion presents. Welcome to Rokkenjima.
“WHEN THEY CRY 3”